「ありのままの最期 末期がんの”看取り医師” 死までの450日

 

今まで夫妻で沢山のがん患者を看取ってきた医師が自分ががんになり、今までの患者さんを通して理想の逝き方を全うしようとするが・・・というドキュメンタリー

(身内やとても近い存在の人が亡くなって間が無い人が見ると結構精神的に来るかもしれないので、そういう意味では閲覧注意ではあるかも?)

 

この医師の方は自分でも数多くの患者さんを診てきているので、自分がどういう状態でっていうのは理屈では分かっていたと思う。(奥様の一緒に働く医師なので、奥様も冷静に対処されていた)

 

ただ、元気な状態の時に思う「理想の逝き方」を本当に全うできるのか・・・理想の逝き方って何なのか・・・見てるとわからなくなります。

ずっと密着を続けていた担当ディレクターの方も自分のお母さんを亡くした直後にこの取材の話を受けたそうで、この密着を通して「理想の逝き方なんてないのかもしれない」って言ってた。

 

遺される者のエゴ(一日でも長く生きてほしい)って気持ちも本当だし、それが逝く方にとっての理想と反してしまっても・・・やはり全うはできないもんなんだ。

逆にそれを押しとおすってなると、かなりの精神力が看取る側にも必要になってくる。

 

最後は医療麻酔で苦痛を取り除くケアをするとなると・・・自分でも言葉がでてこなくなるし、一気に混乱して不安になる。その譫妄は仕方がないことなのかもしれない。

 

幸い、父の時は肝性脳症と言われる譫妄状態はまだらにしか来ず、割と最後の最後まで私の事は理解してくれてたし。

頼りない娘だったので、最後まで「お父さん」を全うさせてしまって申し訳なかったけど・・・

父は最後まで頑張るつもりで、いわゆる緩和ケアはしないと言ってたし、私もいつもカンファレンスには同席していたけど、自分がその苦しさとかを理解できていなかったので、出来るだけ本人の意思を尊重しようとしていた。

亡くなる1か月前くらいには臨月の妊婦さんほどの腹水がたまり、それが身の置き場がないほど辛くて・・・母にも辛く当たったりしてたけど・・・

それでも弱音は吐かなかったなぁ・・・なんでだろう。

凄く精神的に強い人だったんだと思う。もしくは女子供とは共有できなかったのか・・・もっと甘えてくれてもよかったんだけどなぁ。

 

このドキュメンタリーはその譫妄状態からの、最後は痛いしか言えなくなった状態まで・・・そして亡くなってお葬式までをきっちり密着していた。(それがこの医師の方と奥様の意志だったので)

奥様は医師としても旦那さんの容態や1日でも長く一緒に居たいと色々工夫なさっていたけど、最終的には奥様が仮眠をとっている間に亡くなられたそうで・・・

お葬式のあと、火葬場へはどうしても行けない・・・と泣き崩れておられた。

そして撮影スタッフたちは火葬場までお見送りし、お骨になったところまで撮影していた(これっていいのか?とも思ったけど・・・)

 

何か寝る前にこれを見てしまって、いろいろ思い出してしまって夕べほとんど眠れなくなってしまった。

 

いまさら何を思っても仕方ないんだけど、今ならもうちょっとやりようがあったかなとか、父の時も母の時も考える。

 

そしておそらく私が生きている間にもう焼き場まで行ってお別れするような機会はそんなにないし、自分が送るべき人も居ないので、

余計にそう思うのかも?

こういう治療や緩和ケアって遺される人のためのものでもあるので。

 

まだご両親が健在な方とはおそらく見方も違うのかも?

 

どっちかというと自分に置き換えてみる方がリアルだし。

でも、自分だったらきっと誰も巻き込みたくはないので、一切の治療は拒否してホスピスかなんかに入って、後始末だけをお願いするだろうなぁと思う。

淋しい考えかもしれないけど、1人で生きなきゃって思った時点でこの覚悟はある程度できているので・・・

でも、いまどきは何に付けても「同意書」が要るご時世なので、しっかり自分の意思を伝えておくことが大事なのかなって思う。